クレーム対応:お客様は神様です!(1)からの続きです。
前頁では、「お客様は神様です」が行き過ぎているために、モンスタークレーマーを生んでしまっている現状を書きました。
お店としては、どこまでがお客様サービスで、どこからがクレーマー対策になるのかを見極めることが大切だろうと思います。
お店側はどうすればいいのか?
安易に「苦情がきた=>クレーマーだ!」と決めつけてしまうとお店の評判を落としてしまう可能性があります。
前頁でお話したとおり、良いクレームと悪いクレームがあります。
良いクレームはお店に役立つもの、そして、悪いクレームは恫喝されたり金品を要求されるものです。
あるお坊さんが、本当の宗教と偽物(怪しい宗教団体)はどう見分けたらいいのですか?と聞かれた時に、「金品を要求するところは偽物ですよ」と単純明快におっしゃっていました。
お店でも同じようなものではないでしょうか。
クレーマーに対するお店の抵抗
全てとはいえませんが、金品を要求してくる常習のクレーマーは、お店から抵抗されると諦めも早いようです。
お店の抵抗というと言葉が悪いかもしれませんが、毅然とした態度で、お客さんに証拠を出してもらうことが大切です。
・レシートや納品書を出してもらう。
・宅配便の控えを出してもらう。
・商品やパッケージの状態を写真に撮って送ってもらう。
証拠写真に加えて、いつ、どこで、何を買って、何が問題だったのかを詳しく説明してもらいましょう。
今は携帯やスマホで簡単に写真が取れますから、証拠写真を提出することは難しくありません。でも、嘘のクレームであれば証拠が出せないでしょう。
そして、証拠が無い場合は対処が難しいことを伝えて下さい。
前出で取り上げたニュースで、クレーマーから電話があったけれど、レシートがないと対応できないときっぱり断ったお店は被害を免れていました(ただし、一回では諦めなくて後日また電話がきたそうです)。
クレーマーの要求が過激な時
要求が過激な時は、法的な対処の指針として、クレーム対応:脅迫罪・強要罪・恐喝罪を知ることを別ページでご紹介しました。
この境界線を超えたらクレーマーとして、強い対応を取るというお店独自のガイドラインを設定したおいた方がよいでしょう。
あまり早い段階でクレーマー扱いしてしまうと失敗するかもしれませんので、慎重に見極めることが大切です。
不安であれば、自分だけで判断しないで知り合いのショップさんなどにアドバイスを貰うことも必要でしょう。
常習犯のようなクレーマーに関しては、「いつかはお客さんが理解してくれる」という甘い考えは捨てた方がよいと思います。
顧客対応専門の部署がある企業ならいいですが、1~2人で運営しているような小さなネットショップにそんな時間的余裕があるでしょうか。
毎週のようにクレーマーから電話が来て怒鳴られていては普通の神経では持ちません。
クレーマーによって潰されてしまうネットショップ
クレーマーとのトラブルで精神的に参ってしまって、お店を辞めてしまう人もいます。
少なくとも自分で経営しているのであれば、クレーマーに言葉の暴力で殴られっぱなしでいるのか、切り捨てるのか、反撃するのか、自分で選べる選択肢がありますが、どれも難しい選択です。
昨今は、女性のネットショップオーナーさんが増えていますが、素敵な雰囲気で販売していて注目していたのに、ある日、急に閉店してしまうところがいくつかありました。
あるオーナーさんに聞いたところ、お客様対応で体調を崩してしまって(言葉遣いは丁寧ですが要はクレーマー対応で疲弊して)、閉店することにしたそうです。
もちろん、すべてがこういったケースではありませんが、せっかく素晴らしい商品やサービスを提供しているのに急にやめてしまうには、人知れずこんな原因もあるのではないでしょうか。
クレーマー対応で電話に出るのが嫌になった
一時期、私はクレーマー対応で電話に出るのが本当に嫌になったことがあります。
電話にでると怒鳴られ、その原因がそもそもお客さんの誤解なのですが、なかなか理解してもらえずにいました。
ネットで悪い評判を流されたくないというお店を守る気持ちが強く、相手に言われっぱなしでした。
仕事では仕方ないとある程度割り切っているつもりではいましたが、元々、言いたいことは言うタイプなので、こちらから強く言い返せないストレスがどんどん溜まっていきました。
電話のたびに怒鳴られ続けて、議論にもならず、もういい加減にして欲しいという限界点まできてしまいました。
お店を守るつもりで我慢してきたけど、お店を辞めることになってもいいから、自分の言いたいことを言い返そう!と決めました(もちろん、苦労して成長させたお店を潰したくはなかったですが・・・)。
当時、ネットショップとアフィリエイトという二足のわらじで仕事をしていたので、悪評を流されてネットショップが一時的に被害を受けても何とかなるという考えもありました。
当時はまだクレーマー対応は未熟で、一通りこちらの言い分を言った後、これ以上業務を妨害すると警察に連絡します!くらいしか言えませんでした^^;)
怒鳴り返してやろうというものではなく、こちらの意思を強く通すという気持ちで対峙しました。
崖っぷちの勢いというか、揺らがない態度が功を奏したのか、その後、そのクレーマーから一切電話がこなくなりました。
クレーム電話対応の難しさ
電話ではクレーマーが脅し文句を言いやすいです。ヤクザのような口調で言われると、それだけで震え上がってしまうお店の人がいるでしょう。
たとえ相手が演技でやっていても、相手の顔が見えないので怖くなってしまうことがあると思います。
特にネットショップは個人や小規模で運営しているところが多く、会社のような組織の支えがないので、さらに怖い思いをしてしまうことがあるかもしれません。
多少気の強いショップオーナーさんであれば、怒鳴られたりするとアツくなって売り言葉に買い言葉になりそうなことがあるでしょう。
でも、お店側がキレたら、それをさらに逆手に取られる可能性があります。
電話対応では、忙しい時間帯にかかってくると大変です。クレーマーの中には、1時間でも2時間でも、自分の要求が聞き入れられるまで電話を切らない人もいます。
ここで根負けして、クレーマーの要求を飲んでしまうお店もあるでしょう。1時間無駄にするくらいなら、ちょっとした商品券やお詫びの品を送ってしまった方が、損失のキズを広げないで済むと思ってしまうからです。
でも、そんなことをしていると金品を要求するクレーマーをはびこらせてしまうと思います。
クレーマーにはメールで対応
ある程度までは電話対応をしますが、話が通じないお客さんもいるので(いわゆるヒステリー系や怒鳴り系を含む)、そうなったら電話は止めてメール対応に切り替えるようにしています。
クレームの内容にもよりますが、「お調べしてメールで詳細をお伝えします」と電話を切って、それから一切電話では対応しないようにします。
ネットショップの利点はメールでも対応できることです。注文があった時点でメールアドレスは登録してもらっているので、それを有効活用した方がよいと思っています。
メールに関しては詳しく説明するまでもないと思いますが、証拠を残すことに適しています。
メールでは、言った言わないの言い争いになり難いです。必要であれば、過去のメールから転記して「お客さんはこう言われましたよ」と証拠を出しやすいです。
自分の都合で返信ができるので、営業が終わってからでも返事ができますし、忙しければ、いつまでにご連絡しますと予告メールしておいて、日をおいて返信することができます。
返信のスピードはその時々によりますが、ヒートアップしていると暴言を吐く人もいるので、冷静になってもらうために少し時間をおくこともあります。
メールできついことを言われるのはもちろん嫌ですが、電話口で怒鳴られるよりマシだと感じます。
また、メールは明らかな証拠が残るので、行き過ぎたクレームは法的処置を取る際に扱いやすいこともあります。
メールが苦手なクレーマー?
私の経験からですが、クレーマー的なお客さんは、電話口で怒鳴るのは得意ですが、メールを打つのが苦手みたいです^^;)
スマホを軽快に使いこなしたり、ブラインドタッチなんてありえない感じです。
電話では饒舌だったクレーマーが、メールになった途端、文章にして2~3行の返信ということがよくありました。これで、バカヤローとか書かれても全然怖くないです^^;
繰り返し電話をしてくる人がいますが、「正確な情報をお伝えするため、メール連絡で対応させてもらいます」と伝えて、それでも電話をしてくれば着信拒否(話中の音になる)にすることもあります。
本来ならお客さんの利便性を優先して連絡すべきですが、クレーマー対応で疲弊したくありませんし、多少こちらに有利なステージで対応したいという一面もあります。※あくまでクレーマーの対応で、普通の苦情や改善要求等は異なります。
状況にもよるのでいつも同じ結果とは行きませんが、メールに切り替えると恫喝を止めたり、過剰な要求を諦めることが多いです。
一旦、文字にすることは勢いで怒鳴るとは違い、ワンクッション入ることで考え直すのかもしれません。
メールで脅したり金品を要求することがあれば、それを警察に持っていかれたらアウトですから、クレーマーも言葉遣いはある程度は慎重になると思います。
お店によって対処方法が異なる
クレーム対応に関して、コンサルタントがよく言う「いつでもお客さんと向き合って解決しましょう!」みたいなキレイごとを言う気は全くありません(笑)
こちらで書いたことはあくまでも一例で、お店によって対処方法が異なると思います。
メールより電話の方がよいというオーナーさんもいますので、自分のお店にあった対応をしてください。
大切なことは、一つの店舗でクレーマーに簡単に屈して金品を差し出してしまうと、その情報が伝わってクレーマーが増えてしまう可能性があります。
一昔前と違って、クレーマーのやり方も巧妙で姑息になってきています。
ネットなどでの風評被害を恐れてしまうことも分かりますが、何でもお客さんの言うこと聞くことがサービスではなく、時には毅然とした態度が必要とされる時代になっているのではないでしょうか。
☆今回はちょっとヘビーな内容ですみません(。>﹏<。)