ネットショップを始め、小売業界が戦々恐々としているのは、消費税がいつ上がるのか、どの程度まで上がるのかということではないでしょうか。
消費税に関係なくお給料がもらえたり仕事ができる業界であればいいのですが、消費者に直結している小売業界はなかなか厳しいです。
2014年に5%から8%に増税されときの小売業界のダメージは忘れられませんし、今後はいつ10%に上がるのかというのことで不安は絶えません。
※追記:2019年に消費税は10%に引き上げられました。
これからも消費税は徐々に上がっていくことが予想され、それに備える体制も考える必要があるでしょう。
備えの一つとして、海外販売をすでに行っていたり、検討しているお店が増えていると思います。
消費税が上がるとどうなるのか?
以前、消費税が上がったときを思い出すと、多くのネットショップはそれを価格に加算しませんでした。
値上がりした消費税分を自分たちで吸収する形で、今までと同じ価格で売る方針にしたところが多かったです。私のお店もそうでした。
なぜかといえば、値段が上がって、お客さんが離れていくことを恐れたからです。
小売や流通業界の努力むなしく、お客さんの購買意欲がガタ落ちになったことは忘れられません。
消費税は上がったのに、価格をさらに下げないと売れないといった現象も起きました。
当時、橋本政権の消費税失策で、景気が低迷して長いデフレに入ったと評されていますが、まさにその通りだったと思います。
消費税の内税方式が採用されてダメージ追加
その後、消費税込みの値段を表示する内税方式が採用されるようになりました。
値段表示がわかりにくいといった観点から、税込価格が基本になりました。
それまでは、商品価格だけを提示しておけばよくて、後は、ショッピングカートで合計を出すときに消費税が加算される方式でした。
でも、それだと最終的な合計がわかりにくいから消費税を商品価格に組み込んで、「分かりやすい合計で提示しなさい」ということになったのです。
内税方式が採用された際も、ショップの多くは価格を上げることができず、消費税分を負担していました。
なぜかというと、1980円で購入しやすい価格表示をしていたのが、税込価格で表示すると1980円プラス99円で2079円になってしまいます。
特価:2079円って出しても、全然お得感が無いですよね。
結局は、消費税上がったり、内税方式になっても泣きを見るのはショップ側ということで、正直、外圧というか政策でこうも苦しめられるんだろうって悔しくなりました。
政治家や官僚に庶民が小突かれているようで、いい加減頭にきて、選挙に出ようかと思いました(笑)
海外へ目を向けるお店が増えてきている
これから消費税がどんどん上がっていけば、その分をそのまま価格に乗せられないため、お店の経営はさらに厳しくなるかもしれません。
製造業者でも、大手小売業界から消費税に関わる値上げは無理との圧力から、仕入れ段階での値引きを要求される恐怖心を抱えているでしょう。
消費税が上がるたびに、消費者の消費意欲が落ち込むことになると思います。
そこで、海外へ目を向け始めているショップが増えてきています。
地方の酒蔵業者、茶製造業者、陶器販売店などが海外への販売ルートを広げています。
特にこれらの業界は、日本特有のものですので、世界で日本製品をアピールしやすいです。
もちろん、日本で小規模でネットショップを運営しているショップオーナーさんでも可能性があります。
minne(ミンネ)などで、日本人が得意とする細かい作業で作られたハンドメイド商品を販売している個人の方でも十分チャンスがあると思います。
わざわざ自分たちで海外へ売り込み行かなくても、ネットで販売ができるからです。
海外への販売では消費税は関係ない
海外への販売(輸出)に関しては、売る側としては消費税は関係ありません。
海外から購入されるお客さんは、日本で消費税を払う必要はありませんので、お店で消費税分を預かるという手続きがありません。
商品を受取る国では、関税や消費税が別途必要になりますが、お客さんが商品を受取る際に負担するものですので、お店側でそれに応じて価格を調整する必要はありません。
少なくとも、消費税で購買意欲の無くなった国内のお客さん相手にもがくよりは、海外へ目を向ける方がチャンスが広がるかもしれません。
日本製品は海外では評価が高いですし、日本では余り売れないものが海外では売れるということさえあります。
英語版のショッピングカートが必要になる
ショップ形式で販売する場合は、英語版ショッピングカートが整ったシステムが必要になります(ターゲットによって他の言語が必要な場合もありますが、一般的にネットでは英語が主流だと思います)。
海外のショッピングカートシステムを利用する方法もありますが、慣れていない方は国内会社のものを利用する方法があります。
無料で利用できるショッピングシステム「BASE」では、海外対応機能がついており、ブラウザやスマホの設定が英語を利用されている方には英語化されたショップが表示されます。
自前でショップを用意しなくても、eBayやamazonなどに出品する方法もありますが、それなりに語学力が必要になります。
※以前、英語版のショッピングカートとしてジュゲムカートをご紹介していましたが、新規の募集を終了しています。
英語の壁はどうするか
英語は一番のネックになるでしょう。システムやショッピングカート部分は英語化されても、自分のコンテンツ自体は日本語のままでは売りにくいです。
自動翻訳でやっているところもありますが、お金が絡んできますので、誤訳から生じる誤解はトラブルのもとになるかもしれません。
スタッフに多少英語のできる人や留学経験のある人がいればベストですが、そうでなくても運営は可能かもしれません。
すでに日本語のホームページがあるなら、それを英語に翻訳してもらう形で、BASEやStores.jpなどを使って海外用にショップを作ることができるでしょう。
翻訳は料金が高いと思っている方も多いかもしれませんが、ココナラのようなサイトで翻訳を依頼すれば低価格でやってもらえます。
日本のネットショップでもそうですが、お客さんへの送信メールは予め用意した雛形を使っていることがほとんどです。
予め英文メールのあいさつ文を用意しておけば、多くはそれでこなせるのではないでしょうか。
コミュニケーションのトラブルは全くないとは言えませんが、日本人同士でも話の通じない人はいます(笑)日本語が通じるから、恫喝したりごねるお客さんがいることも確かでしょう。
海外とのやり取りでは、言葉や習慣の違いから誤解が生じたりすることはあります。
でも、英語圏以外の方も多いですから、誰もが完璧な英語を使っているわけではありません。英語が母国語でない方は、変な英語で連絡されてくる方もいますがそれなりに意思は通じます。
食品、植物や木材などの加工品は気をつける
何でも海外で売れるわけではなく、輸出が難しい商品もありますので、その辺りは事前に調べる必要があります。
食品や自然界のものを加工した製品については、カナダ、オーストラリア、EU各国などで厳しい輸入規制がありますので気をつけてください。
特に農業や酪農業も盛んな国々では、海外から入ってくる食物、種、植物などを厳しく取り締まっています。虫や病気が持ち込まれると自然環境や生態系を崩してしまうようなダメージが生じることがあります。
伝染病の中には、熱処理しても生存するものがるので、加工食品をはじめ自然の木材などを使った工芸品などでも輸出が難しいことがあります。
簡単に調べる方法としては、郵便局や国際宅急便のサイトで輸出できない商品のリストが出ています。
郵便局や宅急便の窓口では、受付の人が各国の輸入規制について精通しているわけではないので、発送した後にこれは送れませんということで荷物が戻ってくるということがあります。
アメリカや中国というように、どの国をターゲットにするのかということもある程度絞って、輸出規制や対象国の税関について調べてみてください。
海外販売が生き残りのチャンスになる
いきなり海外へ売ろう!といわれてもピンと来ないかもしれませんし、無理と思われることもあるでしょう。
でも、海外に行ったことがある人が身近にいるなら、ちょっと外国の生活やお店の話を聞いてみる、といったことから始めてみてもいいでしょう。ネットで海外サイトにアクセスしてみるのもいいです。
消費税が上がる→物が売れなくなるというのはお店の売上が下がる一例であって、何らかの理由で、自分のショップで全く商品が売れなくなるという可能性があります。
消費税が上がること以外に、風評被害も怖いです。風評被害は、小さなネットショップではどうにも太刀打ちできません。世の中が静まるまで待つしかないかもしれません。
競合店が出てくることもあるでしょう。成功しているお店を真似するお店はたくさんあります。真似されるだけではなく、踏み台のようにされて^^;)より良いものを出してくるお店もあり、お客さんがそちらに流れてしまうことがあります。
グーグルが支配しているネット検索で、ある日突然、自分のホームページが除外されることもあります。
グーグル・ペンギンやパンダアップデートなどでは、Googleガイドライン違反と判定されると検索順位を下げられたりして、グーグルやYahoo!で検索しても、自分のお店がなかなか見つからないといったことになります。
急に自分のショッピングサイトにお客さんがきてくれなくなるなんて、想像しただけでぞっとしませんか。私のサイトでは、何が起こったの?と考えている間に売上げが10分の1になってしまったことがあります(涙)
急に売れなくなって、来月の支払をどうしよう!という緊張感の中では、何かをしなくては!といったマインドにきっとなると思います。そのときの一つの手段として、海外販売といった別ルートを事前に考えておくことは先行投資になるかもしれません。