ネットショップで代引き発送をやめたい

代引きやめる ネットショップの商品配送

代引きは、宅配で荷物が到着した際に、お客さんが商品と引き換えに代金を払う方法です。便利な半面、お店側にとっては少しリスクがある発送&決済方法でもあります。

代引きは便利なサービスですが、いたずら注文や受取拒否などで売上に繋がらないばかりか、往復送料や代引き手数料だけがお店の負担になるリスクがあります。

代引きは昔からある通販の決済方法ですが、現在のネット通販では様々な支払い方法があり、お店側から見れば、代引きが必ずしも必要ではなくなってきているかもしれません。

しかし、オンライン決済やカード決済に不安を持っているお客さん、コンビニまで支払いに行くのが面倒というお客さん、現金決済が一番安心できるというお客さんにとっては、代引きはよく利用されている決済方法です。

ネットショップごとに事情はあると思いますが、代引きを外したいけど外せないという、悩ましい思いでいるショップオーナーさんが多いのではないでしょうか。

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お客さんには根強い人気の代引き

受取拒否やいたずら注文でトラブルの多いといわれる代引きですが、ネットショップが代引きの取扱いをやめられないのは、利用するお客さんが多いからでしょう。

お店に行かなくても、自宅にいながら現金で買い物ができる代引きは、お客さんにとっては便利な購入方法です。

クレジットカード決済は情報漏えいが心配ですし、前払いでは商品が発送されてこない詐欺にあう可能性があります。そう考えれば、荷物が家に配送されてきてから支払うというのは安心な一面があります。

お店によって利用率は異なると思いますが、代引きが注文全体の3割前後を占めるというところは多いのではないでしょうか。

3割も利用者がいれば、代引きをやめるには勇気がいると思います。

 

ネットショップにとっても利便性が高い代引き

お店としても代引きは便利な点があります。その一つは代金回収が早いことです。

クレジットカード決済では、2週間~1ヶ月以上入金を待たなければならないことがある中、代引きは現金で支払われるので入金スピードが早いです。

郵便局では口座にすぐ振り込まれますし、他の宅配会社の場合は契約にもよりますが、1~2週間毎というように短期間での振込(入金)が可能です(回数が増えるとその分振込手数料なども必要になります)。

クレジットカード決済が増えると資金ショートに?のページでもお話しましたが、クレジットカード決済の注文が増えるとお店に現金がなかなか入ってきません。

入金のタイムラグで、仕入れたいけどお金がない、色々経費の支払いがあるけど現金がないといったときに、代引きの入金で助けられることが結構あると思います。

また、クレジットカード決済やキャリア決済(ドコモやauなどの支払い)は、他人名義のカードやIDを使われて詐欺に遭う(商品は取られてお金は支払われない)可能がありますが、代引ではそういったことはまずありません。

 

代引の受取拒否はそんなに多いの?

代引注文で、10件に1件の割合で受取拒否があれば困るかもしれませんが、数十件に1件程度であれば、許容できるというお店は多いかと思います。

ただ、受取拒否があれば、お店側としてストレスになりますので、数よりも精神的な負担が大きいことがあります。

ストレスが大きくなれば、こんなことなら代引きをやめてしまえ!と思いがちですが、感情を排除して、売上や経費といった正確な数字で見てみれば、それほど大きなダメージではないことがあるかもしれません。

考え方にもよりますが、クレジットカード詐欺にあった場合は、チャージバックと言ってクレジットカード会社が支払いを拒否してきます。※詳しくは不正決済保証でチャージバックに備えるを参照してください。

商品は悪人に渡ってしまい、カード会社は支払ってくれないとなれば、万引きにあったようなもので損失しかありません。

しかし、商品が受取られずに戻ってきても、再度、販売ができるようであれば、まだカード詐欺よりはマシということになります。

あまりに代引の受取拒否が多いのであれば、何らかの理由で狙い撃ちされている可能性もあって、そこにはいたずら注文や嫌がらせの度を超えた犯罪の影があるかもしれません。

正義心が強ければ、代引きの受取拒否が1件でもあれば非常にストレスになってしまうでしょうが、代引きを配送方法から外すことは売上の大幅減になる可能性があるので、どこまで我慢できるのか悩ましいところでもあります。

 

代引きの受取拒否は本当にお客さんの責任なの?

お店側としては、代引きの受取拒否があれば、すべてお客さん側に責任があると思いがちかもしれません。代引きの受取拒否が続くと、人間不信になってしまうことがあるでしょう。

しかし、発送する宅配会社によっても、受取拒否の数が異なることがあります。

私のお店では、郵便局で発送していたときは、代引の受取拒否は年間を通してほぼゼロに近かったです。

ところが、S急便に切替えてから受取拒否、または配達不可(不在で期限までに受取ってもらえない)が急に増えたので、代引き発送をやめてしまったことがあります。

宅配会社の配達員の中には、配達日時指定を守らない人がいます。これが一つの理由となって、お客さんが受取拒否をしてしまうことがあります。

日時指定を無視して配達員が家に来たときには、急に来られても手持ちのお金がないといったことがあります。そこで、お客さんは支払えないから受取拒否することがあります。

また、注文した本人がいない時間帯に配達員が来て、家族が対応した際には、代引き=怪しい荷物として受取拒否ということもあります。

最近はだいぶ改善されたと聞きますが、最初の配達で日時指定を無視して不在通知を残し、お客さんが再配達で日時指定をしても、また指定されていない日時に配達に行って不在通知を入れて帰ってくるといったことを繰り返す配達員すらいました。

配達日時指定を無視する配達員の対応によって、お客さんが荷物を受取ってくれない(または、受取れない)という実態があり、受取拒否は必ずしもお客さんが悪いわけではないこともあります。

宅配会社を変えたら受取拒否が減る可能性もあるので、その点も考慮する必要があると思います。

 

代引き受取拒否の理由は他にもある

前出の通り、配達員のせいでお客さんが荷物を受取ってくれないこともありますが、受取る前ならいつでも注文キャンセル可能と思っている人がいたり、自分が注文したものではない(いたずらで注文された)という人もいます。

メール連絡の不備というケースもあります。代引き受取拒否を減らす方法のページでもお話しましたが、フリーメールや携帯メールを利用しているお客さんが、お店からのメールを受信できていないことによる連絡ミスによるものです。

近年は、スマホから注文してくるお客さんが非常に多いですが、携帯メールでは迷惑メールと判断されてしまうと受信拒否されてしまい、お客さんにはメールが届かないことが頻繁に起きています。

お客さんにメールが届いていない(メールを読めない)状況の中で、急に代引きの荷物が届いたらどうでしょうか。不安になって、受取拒否するお客さんもいるのではないでしょうか。

どの注文でも注意が必要ですが、代引きではメール連絡が届いているのか、確認メールを送ったり電話連絡をするといった慎重さが求められることがあります。

一概にお客さんが全て悪いとは言い切れないことがありますので、受取拒否の度にイライラしたり人間不信に陥らないようにしたいものだと思います。

 

嫌がらせ・いたずら注文は対処が難しい

お店への嫌がらせを含めて、いたずら注文を防ぐのはとても難しいです。いたずら注文については、いたずら注文とIPアドレスの開示請求で詳しくお話していますので、そちらをご参考になってください。

通販以外でも、ラーメンやそばの出前注文で、他人の家に届けるように注文を入れるというのは、昔からあるいたずらや嫌がらせですね。

商品の送り先=悪質な客とは限りません。以前、代引の受取拒否でお客さんに請求書を送ったところ、こちらも勝手に注文されて迷惑していると返されてしまったことがあります。本当かウソかは、調べるのが難しいです。

 

代引きの利用率を下げる工夫をする

お店で提供している決済方法が少ない中では、代引きを外すのは売上減のリスクがあります。

売上の3割でも代引きを利用するお客さんがいるのであれば、まずは、その利用者の割合を1割以下に持っていきたいところだと思います。

一つの方法としては、代引き以外の決済方法を増やして、そちらの利用度を上げることが必要でしょう。

現状では、クレジットカード決済、キャリア決済(ドコモ払い、auかんたん決済、ソフトバンク/ワイモバイルまとめて支払い)、コンビニ払い(前払い/後払い)、銀行振込などが代表的な支払い方法です。これだけあれば、お客さんの希望にかなり応えることができると思います。

代引きだけ手数料を引き上げるというのも利用率を下げる一つの方法ですが、それで代引き利用が減って、売上も減ってしまったら困ります。

代引きに変わる決済方法を用意してから、代引きを外すのか、手数料を上げるのかといった検討に入った方がよいのではないかと思います。

 

後払い決済が代引きの代わりになる?

代引きの代わりとして期待できるのが、後払い決済ではないかと思います。

後払いは、決済会社が与信審査から代金回収まで行ってくれるサービスです。※後払いについては、後払い決済のメリット&デミリットにて詳しくご案内しています。

お客さんが代引きを利用する理由の一つが、商品が来てから支払いたいというものです。お金は払ったけど商品が来ないというのは、未だにネット通販の怖いところですから気持ちはわかります。

また、クレジットカードをネットで使いたくないというお客さんも多いです。カード情報の漏洩は毎年のように大きなニュースになっており、カード決済の被害総額も年々上昇していることから不安を持っているお客さんが多いでしょう。

こういった心配を払拭してくれるのが、後払い決済です。近年は、様々な会社が後払い決済に参入しており、NP後払い、後払い.com、スコア後払い、ミライバライ(BASE)などがあります。

後払いには与信審査があるため、それに通らないお客さんは利用することができません。後払いによって、受取拒否やいたずら注文が必ずしも防げるとは言えませんが、何の審査もない代引きよりは安心して使える決済だと思います。

後払いの与信審査ついて詳細は分かりませんが、受取拒否やいたずら注文のあった先では、与信NGになることがありましたので、データにいくらかは反映されているのではないかと推察します。

 

代引の受取拒否のペナルティーを明記する

簡単な方法ですが、代引きでは受取拒否ができないことを明記することも大切です。

また、受取拒否をした場合には、往復送料や手数料といった相応の支払いをしてもらうことも明記しておきましょう。

お客さんの中には、商品を受取る前なら注文をキャンセルできると思っている方がいます。つまり、受取拒否=自動キャンセルと勘違いしています。

受取拒否=自動キャンセルは、大手通販サイトで一部行われています。注文間違いやキャンセルしたいときに、荷物を受取ってから返送するより受取拒否でいいですとお客さんに伝えていることから、そのルールに慣れてしまっているお客さんがいます。

中には、ネットショップ=儲かっている=別に受取拒否してもネットショップは困らないと思っている人もいるようです。

注文してもらう前に、高圧的に思われるような注記やネガティブな情報というのはお客さんには伝えにくいのですが、「代引きの受取拒否はやめてください」という趣旨の丁寧なメッセージをホームページに明記しておくことは大切だと思います。

実際に受取拒否があった際には、請求書や請求メールを送るといった対応をきっちり行った方がよいと思います。何もしないでいると、またやられる可能性があります。

代引きの受取拒否で、送料や手数料を徴収できるかといえば、商品を受取っていないお客さんから料金を取るのは難しいです。しかしながら、お店として受取拒否に対処している姿勢を見せておいた方がよいと思います。

 

食品関連は代引きでの損失が大きい

食品ではクール便を使うことが多く、通常送料+代引き手数料に加えてクール便料金が必要です。これで受取拒否になれば、往復送料と他の手数料すべてがお店側の負担になります。

ケーキや生菓子などは、送って戻ってくる頃には賞味期限が切れてしまうものがあり、そうなれば破棄しかありません。結果、往復送料+代引き手数料+クール便手数料+商品原価など損失が大きいです。

食品関連は、代引きで送るのはリスクが高いので、受取拒否が増えるようであれば、代引配送を外す決断は早い方がいいのかもしれません。または、リピーターさんのみ代引きを可能にするといった制限を設ける方法も検討する必要があるのではないでしょうか。

 

代引きが利用できる合計金額に制限をつける

バレンタインやクリスマスといった繁盛期に大量注文がきて代引きで発送したものの、セール後に受取拒否で戻ってきてしまったら、これも大きな損失に繋がります。

セール期間中に他のお客さんに買ってもらえた可能性があるわけですから、販売機会の損失にならないように、代引きの利用限度額は設定しておいた方が安心です。

扱っている商品にもよりますので一概にいくらとはいえませんが、たとえば代引きで注文できる金額を1万円や3万円までといったお店のルールがあってもよいと思います。

初回だけ代引の金額制限を設けるお店ももあります。ただ、ルールが複雑になるとお客さんが混乱してしまいますので、分かりやすい表示と案内が必要でしょう。

注文を受けてから発注するのようなケースでは、受取拒否が増えれば在庫を抱えてしまうことになりかねません。こういったケースでも、いくらまでの注文までなら代引きが可能なのか、しっかり金額を決めておいた方が安心でしょう。

 

進化しない代引き、受取拒否データはどこに?

代引きが進化していないと思う理由の一つが、受取拒否のデータが活かされていないことです。

受取拒否者のリストを持っているのは、宅配会社ですがそれをデータ化するなどして、積極的にネット通販に役立てることはしていないようです。

宅配会社は受取拒否があっても、往復送料と代引き手数料はしっかり通販ショップから徴収しますので余り損をしていないと思います。その結果、こういったデータを活用する必要性を感じていないかもしれません。

ヤマト運輸は「らくうるカート」というネットショップ運営システムを始めています。

らくうるカートのようなネットショップ支援システムで、代引き拒否やいたずら注文先の住所データが組み込まれて、お店側が受注した時点で、注意が必要な住所や顧客からの注文であればアラートが出るようなシステムがあれば、人気が出るのではないかと個人的に思います。

個人情報保護といった問題もあるでしょうが、他社のネットショップ運営システムやショッピングモールでは特定の住所やカード詐欺などのアラートが出るサービスがありますので、できないことはないと思うのですが・・・。

追記:2020年1月から、ヤマト運輸のクロネコwebコレクト(代引き・クレジットカード決済・後払い)で、不正検知機能が追加されました。決済情報だけでなく配送情報と連携して、なりすましなどの不正利用に対応しているそうです。クロネコwebコレクトは、カラーミーショップやMakeShopなどで導入できます。

 

代引きのよいところも思い出してみる

代引きで苦い思いをしているネットショップオーナーさんにとっては、「代引きをやめる」というのは心地よい響きかもしれません。

しかし、代引きを外した後にどうなるのか?というところも、しっかり数字で分析しておかなければいけないでしょう。

お店によっては、売上減に繋がる可能性もあるので、感情論だけではない慎重さが求められると思います。

お店にとって代引きの魅力は、受注からすぐに発送できること、そして、発送した後の代金回収(入金)の早さです。

代引きや~めた!という判断をする前に、前出でもお話しました対策を考えてみてはどうでしょうか。

・宅配会社を変えてみる

・メール連絡を密にする(お客さんから注文確認の返信をしてもらう)

・気になる注文に対して電話連絡をする、

・代引き以外へ誘導するために決済方法を増やす

・後払いを導入する(与信審査のある後払い)

・受取拒否の注意喚起をする

もし、いたずら注文が多いのであれば、一時的に代引きを外したり、代引きが使えるのはリピーターさんに限定するといったことも必要になるかもしれません。

代引きで注文を受けることが苦痛になってきたら、一旦、やめた方が健全かもしれません。お客さんを疑ってしまうほどストレスを抱えながらネットショップを運営していても楽しくないですし、生産性も落ちると思います。

代引きを外してもそれをカバーできる工夫があればいいですが、やっぱり代引きは外せないとなれば、どこまでリスクや損失を許容できるのかを含めて運用ルールの変更を考えてみてはいかがでしょうか。

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