小さなネットショップが成功していくには、ニッチなマーケットを狙って、他のショップが余り扱っていない商品だけど、実は隠れた需要があるという商品を選んで、徐々に売っていくというのが一つの定石だと思います。
そのニッチなマーケットを狙える商品を探して、それを仕入れることが成功への第一歩といえます。
仕入先から買い付けるのは、消費者としてお店で買うのとは異なります。その点を十分理解して慎重に対応してください。変な仕入先を選んでしまうと、せっかくあなたのビジネスがうまく行き始めてきても、足を引っ張られることがあります。
最初は仕入先を確保するだけで大変かもしれませんが、安易に仕入先を選ばないで、基準をクリアできる卸会社を選ぶのも大切です。
仕入先へのアプローチは慎重にしましょう
仕入先へアプローチするときには、第一印象が大切です。
就職活動や面接では、自分を高く評価してもらうために努力を惜しまないと思います。仕入先との交渉でも、同じような気持ちが大切です。
「売ってくれるのが当たり前でしょ」という態度で臨むと失敗する可能性があると思います。
一般の販売と違って、卸会社はあなたを拒否することができます。普通のお店に行って、「あなたには売れません」という対応はまず無いでしょう。
でも、仕入れに関しては、卸会社は平気で無視したり、拒否してきます。これは商売ですのである程度仕方ないですが、卸会社に評価されなかったり信頼できないと思われてしまうと相手にしてくれません。
一般の消費者と違って、卸売ではパワーバランスがあります。
資金力がある販売会社は、卸会社に厳しい要求をできますが、小さなネットショップが同じようなことはできません。
こういった状況を理解しないで、売ってくれるのが当たり前、安くしてくれるのが当然という態度で臨むとがっかりな結果になるかもしれません。
「私はこんなお店が作りたいです。ご協力をお願いします。」という真摯な気持ちで望むのが大切だと思います。
競合できる卸価格であるのか
仕入先との取引では、一般のお店で買うのと違って、契約や交渉が関わってきます。みんなが同じ価格で買うとは限りません。
たくさん買ってくれるお店には大きなディスカウントがあります。小口での仕入れ値は、それほど大きな割引はないケースが多いです。
前出で、卸会社は販売店からの仕入れ要求に拒否したり無視することがあると書きましたが、とりあえず取引をしてくれることがあります。
最近は、卸会社が卸販売だけではなくネットショップ(小売)も運営しているケースが増えていて、取引を無碍に断るとブログなどで批判されることがあるので、消費者向けのショップに悪影響を及ぼすことを警戒しているところがあります。
仕方ないけど取引してあげる的な場合、卸価格とはいえない市販価格よりちょっと安い程度のことがありますので、商売としては買えないです。
せっかく仕入先を見つけて、気に入った商品を仕入れることができるようになったと喜んでいたのに、卸価格が高いと他のお店と競合していくことはとても難しくなります。
卸会社の仕入れ価格より、アマゾンで買った方が安いときがあるくらいです。誰でも仕入れられる卸サイトには注意!のページでもご紹介しましたが、これでは商売になりません。
仕入れる前に市場価格と運営コストを調べて、卸会社から提示される卸値で商売になるのか、しっかり判断する必要があります。
利益がしっかり出せる取引先を探す
とりあえず取引先を確保したものの、卸価格が高かったり、対応が遅いような場合は、お店としては非常に商売がやり難いです。
当初はお店を開店させることが優先されて、売上げや利益率などが疎かになってしまうことがあります。それではお店を長く運営することができません。
どこかで資金が足りなくなったり、いつまでたっても儲けがでない形だけのネットショップになってしまいます。
ネット上には開店休業中のお店がたくさんあります。お店を作ったものの、様々な理由で運営を途中で諦めてしまったネットショップです。
いつか再開しようと思って、ネット上ではホームページをそのままにしているようですが、根本的なことが解決できないと再起は難しいかもしれません。
そんなことにならないように、利益がしっかり出せる値段で売れることを考えて、仕入先を探すことが大切になります。
以前、私のお店で仕入先が誤って別の会社宛の納品書を送ってきたことがありました。よく見てみると、私のお店用の卸価格よりさらに値引きされていました。かなりショックでした。
私は交渉をして、ここが限界だろうと思った数字を出してもらっていたつもりでした。そこからさらに値引きされていたのです。
これでは、価格的に他のお店に負けてしまうのは当然です。
この納品書の入れ間違いは、卸会社の大きなミスになりました。というのも、最終的に私は別の卸会社と取引をすることになったからです。
私は納品書の入れ間違いを元に再度交渉しましたが、「あちらは昔から取引があるところで、正直、あの卸値ではうちは利益はありません」といって、更なる値引きは望めませんでした。
でも、もっと安く買えると知ってしまったので、別の卸会社にアプローチをして、そちらで希望の価格で卸してもらうことになりました。
対応の優れた卸会社をさがす
仕入先を確保したものの、出荷が遅い、対応が遅いといった卸会社があります。
会社自体は特に問題なくても、できの悪い担当者をあてがわれてしまうと本当に商売がやりにくくなります。
最初は契約してもらえればOKというレベルだと思いますが、発注する数が多くなってくると単に商品を卸してくれるだけでは十分とはいえなくなります。
ある取引先で、私の担当者は社長さんの息子でした。いわゆる親の七光りで会社にいるだけで、全く使えない人でした。
新製品が出ているのにこちらから催促しないと新しいカタログを送ってくれなかったり、納品ミスを連発したり、新人君より仕事ができない人でした。
自分の売上げを上げたくて、注文すると勝手に新製品を同封してきて、最初はサンプルを送ってくれたのかと思ったら、しっかり請求書にはその商品の金額も含まれているなど、やることがめちゃくちゃでした。
余裕を持って発注したつもりが、クリスマスの翌日に大量の商品が届いたこともありました。催促しても「あと少しで出荷します、もう少しで届きます」などと言っているうちにクリスマスセールも終わってしまい、商品が届いたときには「今更、何?」という怒りを越した虚無感でした。
仕入先はそこだけではないので、クリスマスは何とかこなせましたが、そこでしか扱っていない商品もあって、折角の機会を逃してしまいました。
こういったことがあると発注するのが憂鬱になります。「どうかトラブルが起きませんように」と両手を合わせて拝みながら、発注書をファックスで送っていた日々を思い出します(笑)
その卸会社の社長夫婦と仲良くなっていこともあり言い出しにくかったのですが、いい加減、これは無理と思って社長と話しをして担当を替えてもらいました。
最初は穏便にしたいと思ったので、単に担当を代えて欲しいとお願いしました。しかし、社長さんとしては私に気を使ってわざわざ息子さんを担当にしてくれていたところがあったので、それをあえて代えて欲しいというには実情を話さないといけない事態になりました。
調べてみると被害者は私だけではなく、社員もそれを知っていながら誰も言えなかったようです。社長さんは息子の不出来に激怒したらしく、この息子(肩書は副社長)は降格だけでなく、退職させられるかもしれないといった噂話も聞こえてきました。
結局、この卸会社とは段々と疎遠になってしまいました。社員もたくさんいたので馬鹿息子一人のせいではないと思いますが、10年後くらいにその卸会社は倒産してしまいました。
仕入先の担当者のおかげで大きな損失を出してしまうこともありますので、時には担当者を代えてもらったり、一つの仕入先で満足しないで常に新しい仕入先を探す努力も必要です。
卸業者との関係はとても大切
仕入先へのアプローチから、厳選して卸会社を選ぶことに関して簡単にお話しましたが、バーチャルでもリアル店舗でも卸業者と小売店の関係はとても大切だと思います。
裏方である商品の仕入で、卸会社と良好な関係が築けないとお店の成長は望めません。
裏方でバタバタしてしまうと、最終的にはお客さんに迷惑を掛けたり、いつまで経っても利益が出せない体質になってしまうことがあります。
思い通りの仕入先になかなかたどり着けないと思うことがあるかもしれませんが、ここがすごく大事なところなので、諦めないで慎重に選んでください。