ドロップシッピングは、在庫を持つ必要が無く、仕入れ代金を必要としない(または注文を受けてから支払う)販売方法のため、リスクがなく簡単に儲かるという評判ですが、それは本当でしょうか。
巷ではドロップシッピングでいくら儲けたといった雑誌の記事やネットの話題が尽きません。年間に1億円売り上げたという主婦の方がいたりと話題になりました。
ドロップシッピングの仕組みは、お店では注文を受けて、卸会社などに商品の発送を依頼します。お客さんに直接発送してくれる卸会社であれば、お店側は受注や宣伝といった販売活動に集中できます。
ドロップシッピングの最たるメリットは、在庫を持つ必要が無いので、大きな資金がなくても運営できることです。
国内で一番有名どころは「もしもドロップシッピング」でしたが、残念ながら、2020年4月末にサービスを終了しました。
もしもドロップシッピングがなくなってしまった後は、卸の達人、TopSeller、NETSEA(ネッシー) といった卸サイトからドロップシッピングに対応した商品を選んで運営しているところが増えているかと思います。
ドロップシッピングは簡単に始められるということで注目を集めてきましたが、一昔前とは違ってそう楽には儲からない時代になっていると思います。
※こちらの記事は、もしもドロップシッピングの利用をベースに書きましたが、他社のサービスも含めて近年の状況にそった内容に修正して公開しています。
リスクなしで始められるドロップシッピング
商品情報や商品写真は、卸会社やドロップシッピング会社から提供されるので、それらを使って私たち個人はウェブサイトやブログなどで簡単に販売することができます。
「もしもドロップシッピング」(サービス終了)では、商品を掲載したサイトを作るだけでよく、受注から発送まですべて行ってくれるシステムで人気を博しました。
「もしもドロップシッピング」の影響が大きくて、ドロップシッピングの定義が変わってしまった気がしますが、基本、自分のお店で注文を受けた後、卸会社に発注をして、お客さんに直接商品を発送してもらう形式が一般的です。
以前から「メーカー直送」という受注方法がありますが、お店では注文を受けて後はメーカーに発注してお客さんに直接届けるというのは、ドロップシッピングと同じ形式といっていいと思います。
一部、月会費が必要なケースがありますが、通常、卸会社と契約して注文があればその時に発注するという形式なので、固定費は低く抑えられるので始めやすいでしょう。
何十万人も参加している?ドロップシッピング
「もしもドロップシッピング」が流行っていた頃は、参加している人たちが何十万人もいるといわれていて、参加者同士の激戦になって楽に儲けられるとは言いがたい世界になっていました。
流行る前は参加者が少なく、その当時に儲けた人たちの話題がたくさんメディアで取り上げられました。ドロップシッピングで儲けた人の話の多くは、参加者がまだ少なかった時代の話が結構多いので、余り影響されないほうがよいと思います。
一儲けしたドロップシッピング経験者の中には、以前のように儲けられなくなったので、講師やコンサルタントに転向している人たちがいます。ドロップシッピングで儲かる方法などと称して、高額なセミナーや教材を売っている人たちもいます。
ネットショップでも同じような人たちがごろごろいますが、儲からなければ次に儲かる仕事を探すというのは、ある意味、優秀だと思います。
現在では、個人ではなく会社として参入してきているところも多く、専門集団がやっているところで年商1億円や10億円といわれても、人員を確保した企業だったらそれくらい売れても珍しくないでしょうというレベルにもなっています。
ほぼ誰ても参入できる業態なので、たくさんの人が挑戦していますが、強豪がたくさんいるので、利益を上げられずに弾かれてしまっている人も多いのが現実です。
儲け話や売上金額だけに振り回されてしまうと残念な結果になってしまうかもしれませんので、しっかり現実を見据えてこの世界に入ってきた方がいいかなと思います。
売上の数字だけにとらわれない
ドロップシッピングは商品にもよりますが、商品価格の5%~20%位が一般的な収益になると思います(健康商品やダイエット系などはもっと高率のことがあります)。
在庫を抱える必要がないリスクが少ない分、一般的に卸値はそれほど安くないことがあります。
卸会社側もドロップシッピングの優位点を利用して、卸価格をなかなか下げてくれないことがあります。
まとめて仕入れれば相応の卸価格になりますが、ドロップシッピングのようにお客さんから注文を受けて単品で卸会社から買うケースでは思ったほど安くないことが多いです。
収益性の高い商品を選んで売っていくという方法もありますが、みんな考えていることは同じなので、その種の商品を扱うのは激戦になったりします。
ドロップシッピングの宣伝では、「素人さんでも簡単に10万円売れました!」というように売上の数字だけが強調して伝えられることがあります。
でも、実際に自分の収入が、売上の1割程度であると考えるとどこまで魅力でしょうか。もちろん、100万円、1000万円と売れば十分な収入になってきますが、競合が多いネットショップで簡単に売上を伸ばすのは難しいです。
ドロップシッピングで1か月に20万円売れた!
儲け話に踊らされてしまうことがありますが、もし、初心者の方がドロップシッピングで1か月に20万円売上げたと聞いた時、どう思いますか?
ドロップシッピングで月に20万円も売れたと喜んだものの、実際の収益が1万円だとしたらどうでしょう。
こんなに苦労したのに1万円!と思うかもしれませんし、逆にリスクなしで1万円なら十分という方もいるでしょう。
自分で仕入れてネットショップを運営したなら、仕入れ&経費を引いて売上の3割くらい残ると仮定すると、20万円の売上で6万円が収入になります。もし、自分でアクセサリーなどを制作しているような方なら、売上の7割くらいを手元に残すことも可能です。
自分で販売する際には、仕入れのリスクはもちろんのこと、商品の保管や梱包発送にかける時間といったコストがあります。こういったリスクや手間を負いたくないと思うなら、収益性が低くなってもドロップシッピングは魅力でしょう。
商品にもよりますが、ドロップシッピングは利益率が低い分、宣伝広告費などの経費が捻出しにくいです。しかし、競合サイトと競り合う都合、それなりの広告費などが必要になってきますので、それほど手元に残らない可能性があります。
月1000万円を売り上げている人でも、実はネット広告をたくさん出していて、その結果の売上であって、経費を引くと手元に残るのはほんの少しというケースもあります。こうなると商売というよりゲームになってしまうかもしれません。
経費をかけない方法もありますが、その分、自分が手を動かさないといけないわけで、それを時給でしっかり計算してみると、外でバイトした方がずっと稼げるということになりかねません。
売上0円でも、固定費や運営費は必要
在庫リスクはありませんが、普通の商売と同様、固定費や運営費はかかります。
たとえば、規模の小さいネットショップであっても、ホームページを設置するレンタルサーバー(月額1000円前後)、ドメイン維持費(年間1000円~2000円くらい)、ショッピングカート(月額0円~5000円くらい)、ネット回線(月額5000円くらい)、注文時の決済手数料(3~5%くらい)、広告費(月額0~1万円くらい)は必要でしょう。
ネットショップだけを用意するのであれば、BASE のようなネットショップ開設&運営サイトを使えば、維持費はかなり抑えられると思います。
ホームページを作ったり画像処理したりするパソコンやソフトウエアも必要ですし、それらを使いこなせるスキルも必要です。
自宅に光回線やモバイルWi-Fiがあるという方は、すでにそれらの月額費用が恒常化していて、その分の費用に対して心理的な負担は低いでしょう。
しかし、スマホでネットショッピングを楽しむ程度だった方が、0からネットショップを始めるとなると、パソコンを購入したりネット回線を入れたり、初期費用+月額費用もそれなりに負担になると思います。
日々の運営では、ホームページやショップページの作成、SNSの更新、お客様からくる問合せへの対応、注文処理(お客様への連絡と卸会社への発注等)、クレーム対応、卸会社のサイトで商品情報の変更や品切れがないかのチェックなど、これらに費やす仕事の報酬も必要です。
固定費については、色々ネットで調べて、極力コストを掛けないで運営することは可能です。
ただ、無料のネットショップやブログサービスなどを使って、ドロップシッピングや卸会社から提供される商品画像をペタペタ貼って(掲載して)、お店できました!という状態では、なかなか注文はこないでしょう。
無料または安くネットショップを開設できたとしても、そこから先の宣伝や作業などを含むコストをそれなりに費やしていかないと、お客さんはお店にすら来てもらえないというのが実情だと思います。
顧客対応と返品のリスク
注文が入ってから発注するドロップシッピングは、一般のお店のような在庫を抱えてしまうリスクはありません。
しかし、全くリスクがないかと言われると、それは正しくないでしょう。
自分のお店で注文を受ける場合、そこには顧客対応が関わってきます。
昨今はクレーマーと言われるようなお客さんが一定数存在します。こういったお客さんの対応に疲弊して、メンタルを病んでお店を辞めてしまうネットショップオーナーさんがいます。
ドロップシッピングでは、不良品を除いて、原則、返品は受付けない販売方法がほとんどだと思います。
返品不可を謳っていても、お客さんがどうしても満足されない場合、悪いレビューや過激なクレームを避けるため、自腹で返品対応をせざるを得ないようなケースが生じるかもしれません。
ドロップシッピング会社では、明らかな不良品以外は返品させてくれないので、ドロップシッピング会社とお客さんの板挟みになってしまうことがあります。
最終的にお店の負担で返品を受付ける場合、商品は自分で一旦保管して再販するといった処理をしなければならないことがあります。小さい商品であればよいですが、家具といった大型商品はかなりのスペースを取られます。
10万円の商品が返品されたとしたら、お客さんへの返金は自ら負担しなければなりません。交渉によって多少減額できる可能性もありますが、全額自己負担と考えていた方がよいでしょう。
本来、2万円程度の利益で売った商品で、10万円の返金が生じるとなれば、その差額の8万円は自己負担になり、小さいお店であれば大きな負担になるでしょう。
返品された商品が再販できる状態であれば、全くの損ではありませんが、すぐに再販できるとは限らず、ドロップシッピングをやっているのに在庫を抱えてしまうというリスクが生じることもあります。
傷などがあれば、通常販売ではなくアウトレットなどとして売る必要があるでしょう。そこでは、また別の手間と費用がかかってくる可能性があります。
クレジットカード決済に関わるリスク
ドロップシッピングでは、自分のお店でお客さんから支払いを受けて、商品を卸会社などに発注します。
大きな金額が動く場合、入金のサイクルと出金(支払い)のサイクルがずれると、借金経営に陥ってしまうリスクがあります。
詳しくは、クレジットカード決済が増えると資金ショートに?のページを参考にして下さい。
また、高額商品ではクレジットカード詐欺もリスクの一つになります。
クレジットカードの不正使用では、商品を発送したのに代金を回収できない事態になります。
クレジットカード詐欺にあうとどうなるか?については、下記のページでご案内していますので参考にして下さい。
チャージバックという制度がクレジットカード決済にはあり、クレジットカードが不正利用された場合、クレジットカード会社は商品代金の支払いを拒否することができます。
商品は発送したのにその代金が入ってこない事態は、ネットショップを苦しめる大きな要因になっています。
ドロップシッピングは、在庫を持たないで売れたときに発注して利益を得る形態なので、リスクがないと言われます。しかし、こういったクレジットカード詐欺にあってしまった場合は、全額が自己負担になることはリスクの一つとして認識しておいた方がよいでしょう。
創意工夫が求められるドロップシッピング
誰でも参加できて、何十万人も同じようなことをやっている状況で、国内のシステムが整ったドロップシッピング大手というのは、たぶん数社しかありませんので、ショップさん同士で扱っている商品が重なってしまうことがあります。
商品名でネット検索した場合、同じ商品を扱っているショップが何ページにも渡ってずら~と並ぶ状況を見ると、こんなに売っているサイトがあるの?と驚愕して、これでは新規参入は難しいと思ってしまうでしょう。
ドロップシッピング会社ではたくさんの商品を扱っていますが、すべてが売れるわけではなく、実際に売れるのは全体の1~2割の商品に限られるという話もあります。そのため、特定の商品に多くのショップが群がってしまう状態になります。
もう少し言ってしまうと、せっかくドロップシッピングで商品を紹介しても、楽天やアマゾンの方が安いということが多々あり、お客さんはそちらに流れてしまう傾向があります。
こういった状況の中で、どうやって売っていくのか?というのは、人それぞれの創意工夫につきます。
商品をたくさん紹介するという物量で勝負する人もいれば、自分で商品を試してその体験談を丁寧に紹介する人、自分の趣味と兼ね合わせて商品を売る人など様々です。
趣味との兼ね合わせで言えば、お掃除が好き、部屋を整頓するのが好きで収納が得意、アクセサリーなどで自分を着飾るのが好き、プラモデルを作るのが得意、キャンプが好きで毎週どこかに出かけている、といった趣味や得意分野を持っている方々がいます。
好きなことや趣味が商売につながると思っていない方が多いですが、体験談に絡ませて商品を紹介すると結構な確率で売れます。ファンも付きやすいです。
近年はSNSを活用した販売も盛んで、インスタグラムやツイッターでうまく情報発信ができれば売上につなげることも可能でしょう。
やってみないと分からない
ここまで書いて言うのも何ですが、始める前に儲かる儲からないと議論しているだけでは、先に進めません。
宝くじでよく言われるように、買わなければ当たらないのです。
ブログで商品を紹介したら売れたというケースでも、ブログに載せていなければ売れることはありません。議論していても1円にもなりません。
同じ商品でも色々な切り口で売ることができます。そのアイディア次第で、お客さんが買ってくれるか否か、分かれてくると思います。
売れているサイトをマネしても仕方ありませんので、ニッチなマーケットを狙って、他のお店があまり注目していない商品を狙うというのも一つの方法です。
トップセラーのページでは、今コレが売れました!というコーナーがあります。ドロップシッピングでどんな物が売れているのか参考にしてみてください。
多くの人がまだ興味を持っていない新製品を狙って、自分でブームを作るような売り方をしたり、話題になる前に自分のお店で扱っていると売れる確率も高くなります。
自分で実際に買ってみて、購入者の体験談として商品の特徴を自分なりに説明したり、写真を掲載することでお客さんの信頼を得て販売に結びつけることができるケースもあります。
ドロップシッピングで扱っている商品の中には、商品写真が揃っていないものが結構ありますので、自分で商品を取り寄せてきれいな写真を掲載して売っている人もいます。
お客さんの多くは無在庫販売を警戒するようになってきています。詐欺を目的とした偽ネットショップが増えていることも影響していると思いますが、多少下手な写真になっても在庫がある雰囲気が出せることで、他の人と差をつけて販売しやすくなることがあります。
商品を自分で購入する際には初期投資は多少必要ですが、普通のお店では数十個~数百個の単位で仕入れることを思えば、サンプルとしての購入なので、考えようによっては少ない投資といえるかもしれません。
無理に商品を購入しなくても、自分が使っている類似品などをブログなどに掲載して体験談を絡めて紹介すれば、販売ページに誘導しやすいことがあります。単なる商品写真より印象がよく、お客さんの感じ方もだいぶ違ってきます。
少ない投資で始められる
ドロップシピングが儲かるかどうか、これは自分で試してみるのが一番です。
私はブログで紹介した3万円くらいのソファが、思いかけず売れたところから始めました。そのときは、「本当に売れるんだ」と思ったくらいで、そんなところからのスタートでした。
在庫を持つ必要が無いわけですから、少ない投資で商売を始めることができます。無料ブログやホームページを使うのであれば、ほとんどお金をかけずに始められるでしょう。
現在は競合他社が多く、ブログに載せたら売れたというほど簡単にはいかないですが、興味がわいたらやってみる、それができるのがインターネットビジネスのいいところではないでしょうか。
レストランを始めたい、お弁当屋さんを始めたいと思ったらどれほどの資本金が必要でしょうか。銀行から融資を受けないと始められないこともあるでしょう。
それを考えたら、大きな資本がなくてもできるネット販売は、今すぐでも始められる環境にあるのではないでしょうか。
新しいネットビジネスのきっかけになる
ドロップシッピングを始めてみたら、何か違うものが見えてきて新しいビジネスのきっかけになるかもしれません。
ドロップシッピングよりアフィリエイトの方が自分には向いているとか、やっぱり自分で商品を仕入れてネットショップをやりたいと思うかもしれません。
商品を自ら仕入れて売ってみたいとなれば、取り扱う商品を厳選すれば、ドロップシッピングに比べて競合が少なく、すごく売りやすくなることがあります。
自分が実際に手に取って仕入れた商品は、愛着が違います。自分で作った小物やアクセサリーならもっと愛着があるでしょう。そうなると売る熱意も違ってきます。
大手のドロップシッピング会社の利用者は飽和状態と言われていて、競合するネットショップが山のようにある状態です。
もちろん、大手ドロップシッピング会社では取扱商品が多いので、他のショップが余り扱っていないようなニッチなマーケットを探したり、切り口を変える方法で販売を伸ばすことは可能です。
大手は避けたいというのであれば、ドロップシッピング(消費者直送)に対応してくれる中小の卸会社をNETSEA(ネッシー) などから探して、自分のお店作りをする方法もあります。
少し抽象的な言い方かもしれませんが、始めないと何も起こらない、新しいことが見えないかもしれないということです。
面白いことができそう!といったアイディアがあれば、まずは挑戦してみることをお薦めします。
ドロップシッピング会社の紹介:
★TopSeller
家具や雑貨など25万点以上の取り扱いがあるドロップシッピング。商品は顧客に直接送られるため、在庫リスクも梱包の手間もない。自分でお店を持つ必要があり、お客様対応や決済は自分で行う。利用料金は、取扱品数などにより無料~有料プランがある(例:300商品まで自由に選べるプランで月額480円)。
★通販素材
ソファやベッドといった家具類を中心としたドロップシッピング。宣伝写真が豊富で販売しやすい。自分でお店を持つ必要があり、お客様対応や決済は自分で行う。注文を受けてから発注できるので在庫リスクがない。商品は卸会社からお客さんに直接発送可。月額無料(執筆現在)。2020年1月から月額3万円のほどの利用料が必要。
★NETSEA(ネッシー):卸会社が多数出店する卸売総合サイト。卸会社から簡単に商品を仕入れることができる(一定の審査あり)。ドロップシッピング(消費者直送)に対応してくれる卸会社もある。
★もしもドロップシッピング:
会員が40万人以上もいたドロップシッピング大手。小物から家具・家電等まで数多くの商品を扱う。注文の受付、決済、商品発送は卸会社が行う形式。※2020年4月末終了。
★電脳卸:
ユニークな雑貨や健康食品系のアフィリエイト&ドロップシッピングを提供していた。※2020年12月31日終了。