後払い決済は、お客さんが商品を受取ってからコンビニ等で支払うことができる決済方法です。
後払い決済代行会社を利用すれば、与信審査から代金回収まで行ってくれますので、ネットショップとしては、お客さんへの請求手続きなどの手間が省けて非常に便利なサービスです。
ネットショップにコンビニ決済を導入しようでは、コンビニ決済の前払いについてご案内しました。今回は、後払い(コンビニ決済を含む)についてご案内します。
ネットショッピング後払いの歴史
後払いの歴史というほど大げさではありませんが、ネットショップがまだマイナーだった頃、個々のお店では自分たちのリスクで後払いを採用していました。
商品を発送する際に郵便振替の用紙を同封するなどして、お客さんに後から支払ってもらっていました。
ちなみに、大手通販会社とは違って、小さなネットショップが高度な与信審査システムを持っているわけがなく、何の補償もないままの状態でお客さんを信用して、後払いで注文を受ける方法を取っていました。
この無謀な後払いの流れを作ったのが、当時、ネットショッピングのカリスマやパイオニアと言われていた店主さんたちでした。
「お客さんを信用しないでネットショップが繁盛できるか!」といったカリスマ店主たちの発言を元に、多くのネットショップが無謀な後払いを導入しました。当時はそれが正しいことだと信じて、私もそれに倣いました。
ところが、この後払いのおかげでどれほど損をしたことか(涙)
当然なんですが、どこの誰とも分からない人に商品を送って、「お支払いは後でいいです」なんて能天気なことをやっていたのです。
当時、ネットショップのカリスマと言われるような人たちは小規模経営の商店主で、ひょっとしたら実店舗では地元のお客さんにツケで売ることがあって、後払いに抵抗がなかったのかもしれません。
ところが、顔なじみにツケで売るのと、全国の知らない人にツケで売るのでは、そのリスクは全く違いました。地元と違って、集金に回ることもできません。
当時のカリスマ店主さんたちを中心に、損をしてでも信頼を勝ち取ることが大切だという信念でやっていた時代です。
現実はどうかというと、私のお店では徐々に代金回収に時間をとられるようになっていきました。お客さんに督促の手紙を送ったり、電話をかけては話の途中で切られたりしていました。
多くのショップさんは泣き寝入りの状態でしたが、私は理不尽さに耐えられず、督促の方法を調べて支払い請求をしていました。行政書士さんに頼むと高額で、商品代金に見合わないので自分でやるしかありませんでした。
内容証明を送ったり、支払督促で地方の簡易裁判所へ申立を行うといった日々で、私は何の仕事をしているのだろうと虚しく思ったものです。こっちを本職にした方が、儲かるのではないかと思ったくらいです。
ネットショップがまだ信用されていない時代だったのは確かです。しかし、「カリスマ店主さんたちの言うことも一理あるけど、いい加減こんな馬鹿なことはやめよう」というネットショップが増えてきました。
そんな中、NP後払いといった与信審査から代金回収までを行う後払い決済が登場して、ネットショップの多くはこれに飛びつきました。
便利な後払い決済
後払いの決済代行会社を使う方法では、お客さんが商品を受取った後に、コンビニ・郵便振替・銀行振込などで支払うことができます。
コンビニ払込用紙は決済会社がお客さん宛に送ってくれますので、お店で印刷しなくてもよいところも便利です。
商品発送後には、決済会社に配達番号を連絡します。商品が確実に届けられていることが代金回収の大切な条件ですから、配達記録は必須になります。
配達番号の連絡は、決済会社のサイトから入力したり、ネットショップのシステムに組み込まれていることもあって簡単に通知できます。
支払いの与信審査をはじめ、コンビニ払込用紙の発送から代金回収まで行ってくれるので、日々のオペレーションの効率化が図れるでしょう。
お客さんの支払いが遅れたり、万が一、支払ってくれなくても、予め決められた期日に決済会社が立替え払いをしてくれるのですから、自分で支払督促をやっていた頃を思い出すと至れり尽くせりです。
お客さんからしてみれば、商品を受取った後に支払いができるので安心感があります。そこで、手数料を払ってでも、後払いを利用したいというお客さんが結構います。
決済会社にとっては大きなリスクと思われるかもしれませんが、注文時に与信を取ってお客さんの支払い能力を確認したうえで、後払いが利用できるようになっています。
与信に通らないお客さんもいて、私のお店では後払いを選択した1割位のお客さんは与信NGで後払いを利用できないです。
どのような審査が行われているかはお店側では分かりませんが、与信NGの理由は、お客さん自身で心あたりがあるのではないでしょうか。
私のお店では、与信に通らなかったと言ってクレームが来たことはありませんし、万が一、そういったお問合わせが来ても、お店では与信に関わっていませんので決済会社に一任することができます。
後払いの与信NGだからといって即注文キャンセルというわけにもいきませんので、お客さんには別の支払い方法に変更してもらうようにお願いします。とはいえ、私のお店で与信NGが出たときは、注文自体キャンセルになってしまうことがほとんどです。
事前の与信審査によって、怪しい注文を避けられる確率が上がるのは、運営面でありがたいです。
NP後払いの紹介動画↓
後払いでは配達記録が必要
後払い決済は、お客さんが商品を受け取ったという着荷確認が必要なので、荷物が追跡できる方法でしか利用ができません。
手渡しで受領印をもらう宅急便やゆうパックといった配送方法が推奨されます。
普通郵便のように配達記録がないものは、通常、利用できません。送達記録がないときには着荷確認ができないので、決済会社に立替払いの義務が生じません。
メール便やクリックポストといった配送方法では、配達記録はありますが、ポスト投函して配達が完了します。
お店側で発送したと言っても、お客さんが受取っていないとクレームがあれば問題が生じます。メール便等で未達事故があれば、お店側の自己責任になる可能性があります。
お店で商品を発送した後の手続きとして、荷物のお問合せ番号や配達番号を後払い決済会社に通知します(専用の管理画面で配達番号を入力します)。
この配達データを元に決済会社は、請求書兼コンビニ払込用紙をお客さんに郵送します。
しかし、この請求書が届いたり、支払いが滞って決済会社から督促をかけられると、お客さんの中には「そんな注文は知らない!注文なんかしていない」と支払いを拒否する人がいます。
私のお店で購入したお客さんが、「後払いの請求書が送られてきたが、私は注文していない!」と後払い決済会社にクレームを入れてきたことがありました。
このお客さんのクレームに圧倒されたのか、決済会社から私のお店に連絡がきた時には、お店の方が嘘をついているのではないかといった疑いをかけられました。
担当者さんは丁寧な言いようでしたが、私の方が強く疑われているというのはしっかり感じ取りました。昨日今日、契約したわけではないですし、毎月の利用実績もあるのに、何でこんな扱いなの?とがっかりしたのを覚えています。
ご注文内容や送信メールの控え、ゆうパックの配達番号などを証拠として提出して、事なきを得ましたが、正直、お客さんへの不審より、決済会社担当者への不審の方が大きかったです。
こういったクレームや謂れなき疑いに備えるため、注文時のメールのやり取りをはじめ、伝票類や配達番号などは必ず控えておいた方がよいです。
後払い決済のリスク
後払いのリスクは、代引きと同様、お客さんが注文をしておいて商品を受取らないことがあることです。
受取拒否があれば、商品が売れないばかりか、往復の送料はお店の負担となります。
代引きの受取拒否は、長年、ネットショップを悩ませている問題ですが、後払い決済でも同様のことがおきます。
お客さん本人の都合で受取拒否されることがある一方、いたずら注文であったり、嫌がらせで他人の個人情報を使ってなりすましの注文ができてしまう欠点もあります。これもまた代引きと同様です。
私のお店でも時々あります。正直、ちょっと気を抜くと引っかかってしまうといった状態です。特にフリーメールを使っているお客さんですと確率が高くなります。
ある注文で、複数のアイテムをオーダーされて、その一つ一つをプレゼント包装するように依頼されたことがありました。
ところが、送ったら不在で、保管期限を過ぎて返送されてきました。メールは通じているようでしたが、電話も含め何度も連絡を取ろうとしましたが無理で、元々受取る気はなかったようです。
一つ一つ丁寧に包装して、それが全部戻ってくるというのは何とも虚しいです。
後払い決済会社にはこの件を伝えておいたところ、暫くしてまた同じような注文がきた時には与信NGになって、注文はキャンセルになりました。
代引きと違って決済会社にデータが残りますので、その点はよいのですが、色々悪いことを考える人がいるのでイタチごっこの気がします。
後払い決済が使えないケース
後払いが使えないケースはいくつかありますが、まずは与信NGが出ているときは使えません。
決済会社によって限度額が異なりますが、大体5万円くらいになっていることが多いと思います。そのため、余り高額な決済には使えません。
また、前回の支払いが終わっていないお客さんに対しては、追加注文ができないことがあります。
お客さんが荷物の受取拒否をしたり、返品をした際には、与信審査がOKであっても後払い決済での請求はできません。
お客さんが商品を受取り購入が完了していない限り、後払いでの請求はできないのです。
受取拒否でムカついたから、送料と迷惑料を請求しようと思っても、後払い決済会社のシステムを使って、送料や手数料だけを請求することはできません。こういったケースでは、自分でお客さんに請求するしかありません。
お店とお客さんとの間で返品等で揉めた時には、これも後払いが使えない可能性があります。
お店とお客さんとの揉め事には、決済会社は介入してくれないですし、必ずしもお店の味方ではありません。
たとえば、お客さんは商品を返品しているが、お店側では使用後に返品されているので受け入れられないとなったとき、決済会社は請求に介入せず、お店側で解決するように指示してくる可能性が高いです。
予め代金を受取っているものであれば、言い方は悪いかもしれませんが、お客さんとの交渉を有利に進めやすいです。返金の交渉では、代金の何割かを負担してもらったり、送料分を差し引いて返金するなどの提案が可能でしょう。
もちろん、ひどい状態で返品されたりというようにマナーが悪いお客さんに対しては、返金しないという強い態度で望むことも可能かと思います。
しかし、後払い決済でまだ代金が支払われていない状態では、お店からあれこれ言っても説得力がありません。これでは、何の補償もない後払いになってしまいます。
お客さんに支払いを要求しても無視を決めこむことは想像できますし、お店自ら督促をしなければならなくなると非常に手間がかかります。
このように後払いは便利な半面、一定のリスクもありますので、自分のお店に適しているのか、返品に対する対応をどうするのか、その辺りも十分検討する必要があるでしょう。
簡単に導入できる後払い決済
後払いを提供している会社でよく知られているところは、NP後払いと後払いドットコム(後払い.com)です。
私のお店ではNP後払いを使っています。カスタマーサービスが微妙で、ミスをしても軽くスルーしたり、前出のお店を疑うような物言いをしてきたりして、解約しようと思ったことが何度かありました。
しかし、親会社が変わって対応がよくなったようで、システム的にも整っているので継続して利用しています。
NP後払いがネットショップ対応として一早く後払い決済サービスを始めたと思いますが、その後、後払いドットコム など他社が参入してきています。
後払い.comは他社に比べて手数料が少し安く、サービス拡大に柔軟性があるようで、利用しているショップが増えている印象があります。
後払い決済導入の審査は、決してハードルが高いものではないと思いますが、扱っている商品が決済会社のポリシーに沿ったものか、特定商取引法に基づく表示がしっかり掲載されているかといった基本的なことはしっかり抑えておきたいです。
カラーミーショップでは、NP後払いと後払い.comで自動連携が可能で、注文と同時に与信審査が行われますので作業の自動化ができます。
無料でネットショップが運営できるBASEでは、ミライバライという後払いが予めシステムに組み込まれているので、簡単に利用することが可能です。
ネットショップと連結できない場合は、後払い決済の管理画面でお客様情報と注文内容を入力して与信審査を依頼します。
特別難しいシステムではないので簡単に導入ができるでしょう。
手数料に関しては、採用するプランによって異なります。月額固定費が無料のプランがあるので、気軽に採用できると思います。
NP後払いの場合、月額固定費用0円プランの場合、請求書発行料金(コンビニ払込用紙の郵送料)に190円(税抜)、そして、商品代金の5%が手数料としてかかります。※手数料は変更になることがありますので、ホームページで確認してください。
手数料が多少高いと感じるかもしれませんが、多くのショップが200円~300円くらいを後払い決済手数料としてお客さんに負担してもらっているので、お店の負担としてはクレジットカード決済に近い手数料になっていると思います。
扱っている商品にもよりますので一概にはいえませんが、後払いでお客さんに安心してもらうことができる、そして、お店が代金回収で苦労しなくて良い点を考えると優れた決済方法だと思います。
どの決済方法をとっても、良し悪しはありますので、余りデメリットばかりに気を取られないで(散々書いておいて言うのも何ですが^^;)、お客さんにはどの決済方法が便利かな?と考えながら検討してみてはいかがでしょうか。