日本クレジット協会によると、クレジットカード不正の使用被害額は、平成26年度が約114億円、平成27年度が120億円でした。
クレジットカード不正の内訳では、番号盗用被害額が全体の6~7割ほどを占めているようです。
今や大手企業や通販サイトなどからクレジットカード情報が盗難されるケースは珍しいニュースではなくなってきています。
クレジットカー ド不正の使用被害といった統計は他人事のように思えてしまうかもしれません。
しかし、ネットショップを運営する上で、クレジットカードが悪用されている実態とそれに備える方法は知っておいた方がよいでしょう。
クレジットカード詐欺はお店の負担になる?
自分のお店でクレジットカードが悪用された際には、クレジットカード会社が後からお店への支払いを拒否するという、お店としては信じられないショッキングなことが起こります。
ネットショッピングでは、盗難や偽造されたクレジットカードが使われた注文は、カード本来の持ち主はもちろんのこと、クレジットカード発行会社も支払いの義務を負わないという制度があります。
お店ではクレジットカード決済で注文された商品を発送したのに、後日、そのカードが盗難されたものであったことが分かったら、クレジットカード発行会社から代金は支払われないことがあります。
すでにお店側に代金が支払われている際には、クレジットカード発行会社に返還しなければならなくなります。
そして、誰も支払ってくれないので、理不尽にも、損失はお店側が負担することになります。
契約しているクレジットカード決済会社が守ってくれると思っている方がいますが、決済会社は単なるカード決済を代行しているだけであって、お店を守ってくれたり弁護をしてくれるわけではありません(少なくとも無料ではやらないでしょう)。
そこで、こういったクレジットカードの悪用に備えたサービスが提供されているようになっています。
詳しくは、クレジットカード詐欺から救ってくれるサービスのページをご参照ください。
BASEの不正決済保証は3タイプの料金設定
以前、カラーミーショップ、MakeShop、Eストアーなど大手が採用しているチャージバック保証サービスについてご紹介しました。
無料で利用できるショッピングカートシステムのBASEにも、チャーバックに対応したサービスがあります。
こちらは、小さいお店でも使いやすい料金設定になっています。自分のお店の売上や商品価格などに適応させてプランが選べます。
BASEの不正決済保証は、下記のような料金設定になっています(執筆現在)。
・ライト:月額980円で、月額50,000円までの保証
・エコノミー:月額1,980円で、月額100,000円までの保証
・スタンダード:月額2,980円で、月額300,000円までの保証
小さいお店であれば、一人のお客さんが5万円以上購入することは珍しいのではないでしょうか。
そういった意味では、月額980円で5万円までの保証という料金設定は利用しやすいかもしれません。月額30万円の売上があれば、月額手数料は売上の0.3%くらいの負担になります。
5万円以上の注文がきたときには、住所確認や電話連絡等でなるべく細かいチェックをして、必要であれば、理由をつけて別決済に変更してもらうことも必要かもしれません。
お客さんを疑うような対応は、注文を失うリスクがありますので難しいところですが、急に高額の注文が来たら、お店側としてはラッキー!と思うより警戒しなければならない世の中になっていると思います。
実際の詐欺は5万円以上の注文?
5万円以下の少額詐欺も増えているようですが、実際に被害に遭う注文というのは、もっと金額が大きくなってくるのではないかと思います。
小さいお店では、保険に入っていなくても5万円くらいのカード詐欺には耐えられるけど、被害が10万円以上になると厳しいケースがあると思います。
扱っている商品や商品数によっては、10万円くらいの保証は欲しくなるかもしれません。
お店で独自に積立てをして備える
掛け捨ての保険のように不正決済保証の月額料金を支払うのが自分のお店には合わないのであれば、社内留保のようにお店で積立てをして備えることも可能です。
被害がない、または、被害に遭うとは思えないのに、月々それに備えて保険料金を支払っていくのは無駄に感じてしまうことがあるでしょう。
転売が難しい商品に関しては詐欺に合う確率は低くなりますし、扱っている商品価格が低額で、それほど被害が大きくないと想定されるのであれば、自分で月々積立をするような感じで、万が一の損害に備えてもよいかもしれません。
気を付けたいのは、自分で積立を行うにはそれなりの意志が必要になります。今月はちょっと厳しいので積立はやめようとか、積立金を別のことに使ってしまう人もいるかもしれません。
積立がいい加減になってしまうと、いざという時に備えがないことになってしまいます。自分の性格を理解して、強制的に支払わないといけない環境を作るという意味では、保険に入るというのも一つのオプションかと思います。
お店で注文を制限したり決済方法を指定する
一回に注文できる数や金額を制限することで、高額注文の詐欺を防ぐことが出来るケースがあります。
たとえば、「お一人様5個までのご注文でお願いします」とか、「1回のご注文は3万円未満でお願いします」といったようなルールを加える方法です。
この方法でリスクは軽減できるかもしれませんが、たくさん注文したいお客さんがいるのに、数や金額を制限してしまうため、せっかくの機会を逃してしまうかもしれません。
詐欺グループは異なる名義や住所をいくつも用意していますので、それぞれ別の注文として発注してこられた際には、対処に苦慮する可能性があります。
支払い方法を指定することも可能ですが、決済会社によってはお店側で勝手に支払い方法を制限してはいけない規約があります。
お店の独断で、「初めてのご注文ではカード決済はご利用できません」とか、「5万円以上のご注文ではクレジットカード決済はご利用いただけません」といった記載をした場合、他の決済と比べてクレジットカード使用が不利になることはしないように決済会社から注意されることがあります。
そこで、決済会社の規約に触れない範囲で、「ご利用状況によってお支払い方法の変更をお願いすることがあります」といった一文を予めどこかに記載しておいた方が、いざというときに安心かと思います。
心理的な不安をカバーしてくれる保険制度
チャージバックにあうと損金も負担になりますが、心理的な不安が大きくなることがあると思います。
これは詐欺ではないか?ちょっとこの注文方法は怪しいぞ!なんて日々思って対応しているとストレスばかりになります。正直、お客さんを調べようと思っても、お店で出来ることは限りがあります。
それなら、月額いくらかを支払って安心&集中して仕事をする環境を持ちたいというショップオーナーさんも結構いると思います。
もちろん、お店の経営状態や運営方針にもよりますので、月額料金が負担に思えるようなときには別の対策を考えてみてください。