ネットショップ運営のための青色申告と確定申告

青色申告 ショップ運営とお金の問題

ネットショップを始めて利益が出てくると嬉しいですが、その反面心配になるのは、確定申告や税金のことではないでしょうか。

個人事業主としてネットショップを始める際には、「個人事業の開業届出」を最寄の税務署に提出します。この届け出をすると、毎年、税務署から確定申告の書類が送られてくるようになります。

2月16日から3月15日に確定申告を行いますので、その少し前に税務署から確定申告の書類と案内が送られてくると思います。

こちらでは、ネットショップを運営する個人事業主としての青色申告と確定申告についてご案内します。

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青色申告と確定申告

毎年2月~3月になると確定申告がテレビなどで話題になります。一般には確定申告で一括りにされていますが、個人事業主は青色申告と確定申告が必要になります。

簡単に言うと、青色申告はお店の売上や経費を記録したもので、収入から必要経費等を引いて所得を算出します。

確定申告は、所得から医療費や保険など控除できるものを差し引いて、納付すべき所得税額を確定します。青色申告は事業用、確定申告は個人用(家族用)といった方が分かりやすいかもしれません。

青色申告に関しては、日々、会計ソフトで売上や経費を入力していれば、最後に調整をして集計を出すだけになるのでそれほど面倒ではないと思います。

でも、レシートや伝票を溜めてしまうと一挙に入力するのは結構大変なことになります。私も時々これをやってしまい、伝票やレシートの山と格闘することがあります(泣)

 

確定申告をしなくても済む方法はあるの?

確定申告の時期には、「確定申告をしなくても済む方法は無いの?」と聞かれることがよくあります。

所得が少ない時は申告の必要のないケースがありますが、通常、青色申告と確定申告は個人事業主として毎年提出するものと思っておいた方がよいです。

個人事業主の場合、確定申告が住民税や国民健康保険の算出などにも影響してきます。

会社勤めと違って、個人事業主は自分で申告をしないと所得が分からないので、役所から連絡がくることがあるそうです。

また、事業主として、一度、青色申告と確定申告を提出した場合、翌年からも継続して提出する必要があり、未提出や提出が遅れたりした場合、確定申告で控除される金額が反映されないため、住民税や国民健康保険が高額になるケースがあります。

所得に応じて控除や給付金といった支援もありますので、所得が少ない、または赤字でも青色申告と確定申告はしておいた方がよいです。

会社勤めで副業としてアフィリエイターなどをやっている際には、その1年間の所得が20万円以下の場合は、原則、申告の必要はないそうです。

新しくお店を始めるときには、色々とお金がかかってきますので、売上よりも支出の方が多くなることがあります。

青色申告では、そういった赤字が翌年に繰り越せますので、翌年に売上が上がってきたら帳簿上は相殺ができます。

売上を丸々利益に上げてしまうと税金が高くなりますので、前年の赤字が今年の収入から差し引きできるのは助かります。

また、青色申告では65万円の控除が受けられます。お店を運営する観点から会計処理は必要ですし、青色申告をすることで65万円の控除が受けられるのですからやっておいて損はないでしょう。

お店を始めたばかりで扱う金額の少ないうちは会計処理も簡単なので、慣れていくという意味を含めて、初めから確定申告を行っていく方がよいと思います。

ちなみに不正がバレて税務署に入られると過去7年分まで遡って帳簿や領収書を調べられることがあります。レシートや領収書を破棄してしまったり、お金の管理を適当にやっていると後から面倒です。

もし、複数年遡って税金を払うことになった際には、収入にもよりますが結構な金額になる可能性があります。

知人のお店では、税務調査後に数百万円の支払いが生じたことがあります。押入の中の物を引っ張り出したり、家中のものをひっくり返すような勢いで調べられてとても恥ずかしかったそうです。

 

会計のハードルは「仕訳」

会計で一番問題になってくるのは「仕訳」ではないでしょうか。私は高校~大学を通して簿記会計を学んでいたこともあって、よく友人から会計処理の質問をされますが、一番多いのが仕訳に関してです。

会計処理には勘定科目というのがあって、それに合わせて入力していく必要があります。

たとえば、お店づくりの参考にしようと思って雑誌を購入した場合の仕訳は下記のようになります。

新聞図書費 1500円  現金 1500円

左が借方、右が貸方となっていて、どちらに何を記入するかも大切です。借方貸方を間違えると最終的な損益がおかしくなります。

現金ではなく、クレジットカードで支払った時はどうなるの?と聞かれることがありますが、クレジットカードという勘定科目はないので^^; 未払金を使うことがあります。こういった仕訳で混乱してしまう友人が結構います。

・雑誌買いました 1500円
・現金で払いました 1500円

というように日記形式では集計ができませんので、会計用の単語や課目、そして計算方式を覚える必要があります。

そうはいっても仕事をしながら、簿記会計の勉強をするのは大変で、短期間で覚えるのは無理なこともあるでしょう。

心配しなくても、市販の会計ソフトには仕訳を助けてくれる機能があるので、簡単に入力できるようになっています。それでも、どう仕訳すればいいのか分からないときは、ネットで検索すれば、大概、仕訳例が出ていると思います。

昨今は、freeeようなクラウド会計が流行っていて、オンラインでクレジットカードや銀行口座から会計情報を自動で取得して仕訳登録してくれるような便利な機能があります。

こういった会計システムを使えば、会計の知識がなくても何とか青色申告ができるのではないでしょうか。

 

クラウド会計の便利さ

クラウド会計には、MFクラウド確定申告会計ソフトfreeeやよいの青色申告オンラインなどがあります。

近年、クラウド会計が人気になっていますが、特徴としては、クラウド上で管理されているのでネット環境があれば、どこでも会計処理ができる手軽さがあります。

会計ソフトが少ないMacでも利用できるところは便利に思う方が多いのではないでしょうか。

大手のウェブサーバーに会計ソフトとデータが保存されているような形になりますので、1台のパソコンに依存することなく、どの端末からでもアクセスできます。すごく簡単にいえば、ブログやウェブサイトをやるのと似ています。

極端なケースですが、会計ソフトを入れておいた自宅のパソコンが故障したら、今まで入力したデータが無くなることがあります。

バックアップは取っていると思いたいですが、もしそうでなければ悲惨です。クラウド会計ではこういったトラブルは避けられます。

クラウド会計ではネットにつながっている環境をいかして、オンラインで銀行やクレジットカードのデータを取込める機能があります。

通常の会計処理では、銀行の入出金やクレジットカードの利用を一つ一つ入力していくわけですが、それらが自動で仕訳入力されるのは非常に便利です。

自動取込機能に関しては、複数口座を管理するマネールックなどを利用している方には分かりやすいシステムでしょう。

使い心地は、個人の好き嫌いがありますので微妙ですが、ネットをよく使っている状況ではクラウド会計が馴染みやすかと思います。

パソコンにインストールする会計ソフトのように自分でアップデートする必要が無いので、常に最新の状態で使いたいときは、クラウド会計がおすすめです。

クラウド会計で一つ心配なのは、データがしっかり守られているのか?ということではないでしょうか。「金融機関並みの通信方式やセキュリティシステムを導入しているので安心です」というのが各社のスタンスです。

それでも、昨今は銀行口座から預金が勝手に引き出されたりしまったり、関係者がデータを持ちだしてしまう事件も続いていますので、心配は耐えないかもしれません。

個人の端末からパスワードなどが盗まれてそこから侵入されてしまうケースも多いので、利用する側としてはIDやパスワードをしっかり管理することがまず大切でしょう。

どうしても不安というのであれば、自分の端末にインストールするタイプの会計ソフトが好まれると思いますが、その際には、自分でセキュリティ対策をしなければなりません。

 

インストール型の会計ソフト

CD-ROMやダウンロードで、自分のパソコンにインストールする青色申告の会計ソフトには、みんなの青色申告やよいの青色申告やるぞ! 青色申告などがあります。従来型の会計ソフトで、おなじみのタイプです。

費用で考えるとインストールする会計ソフトの方が、一回支払うだけで済む買取型なのでお得かもしれません。

しかし、昨今は新消費税の導入や特別控除といったように会計制度の変更があって、そのたびに有料アップデートや買い替えの必要に迫られることがあります。

また、Win10からWin11というようにパソコンのOSが変わった際に、会計ソフトが使えなくなる可能性もあり、買い替えの必要が生じることがあります。

買ってから1年程度であれば無償でアップデートしてくれることがありますが、2年目以降や大きな変更があると有料でのアップデートが必要になることがあります。

安い会計ソフトはアップデートはなく、データは引き継げますが、ソフト自体は1~2年おきに買い替えになることがあります。

アップデートや買い替えで追加費用が必要になるのは、インストール型会計ソフトの不安定なところでしょう。

会計ソフトを最新に更新する必要がないと判断できれば、複数年使用できることもあります。たとえば、最新の書式(印刷用)に対応できないときは、会計ソフトで集計をして、手書きで申告書を書き上げるということも可能です。

会計ソフトは、形式は基本的に似ていますが、それぞれの会社の工夫で、画面や入力方法などが異なり、使い慣れるまで少々時間がかかることがあります。

一旦慣れてしまうと、システムが違う他の会計ソフトに乗り換えるのがとても面倒になります。そのため、最初の会計ソフトは、じっくり検討して選んだり、利用者が多くいる定番ソフトを選ばれることをおすすめします。

 

自分で会計処理をして費用削減する

青色申告と確定申告をするには、自分で申告する方法、または、税理士に頼む方法があります。

私の友人は簿記会計が苦手で、税理士さんに毎月2~3万円払っていました。確定申告をする時には、10万円くらい払っていたそうです。

税理士の費用は、顧問料、お店の売上高、入力する伝票の数、経営コンサルティング料などによって上下します。費用を抑えることができる記帳代行だけを依頼することができる税理士事務所もあります。

友人は個人でやっているお店ですので、税理士への月々の支払と確定申告時のまとまった出費はきつかったようです。

これを会計ソフトを入れることで解決するとしたら、いくらかかるでしょう。一例を上げます。

会計ソフトfreee(スタータープラン):11,760(税別)/年 ※メール・チャットのサポート付き。上位のスタンダードプランは23,760円(税別)で、レシート写真の読み取りが無制限になったり、チャットサポート優先対応になります。

やよいの青色申告オンライン(ベーシックプラン):17,250円(税別)/年 ※仕訳や確定申告等の相談ができる電話サポートが10回分付。上位のトータルプランは30,000円(税別)になりますが、業務相談や操作サポートが付きます。

このように会計ソフトのサポート付きプランでは、年間約2~3万円くらいの費用でおさえられます。複雑な案件がなければ、税理士事務所に依頼するより断然お安くできます。

なお、税理士事務所は会計処理をするだけでなく、会計を踏まえて経営の様々なアドバイスをしてくれたり、節税に役立つ情報を教えてくれたり、銀行から融資を受ける際の手助けをしてくれるというように、多義にわたってお店のサポートしてくれることがあります。記帳代行や確定申告等の手数料だけで高い安いを判断できないことは付け加えておきたいです。

 

家族でできる会計処理

私の友人が税理士に依頼していたお話をしましたが、奥さんが専業主婦だったので、「奥さんの暇な時にカルチャーセンターや会計専門学校で少し簿記を学んでもらってはどうだろうか?」と友人に提案したことがあります。

その後、日々の帳簿付けや確定申告などは、奥さんに任せるようになったそうです。税理士に払っていた顧問料は奥さんのバイト代になって、お金が家に残るようになりました。

特別な知識がなくても、便利な会計ソフトがあれば青色申告はできるようになっていると思います。

会計ということで身構えてしまうかもしれませんが、仕事をやる上では何でもマニュアルがあってそれを多少なりとも学ばなければなりません。

まずは、本を一冊買って勉強してみたり、時間があるときに日商簿記3級取得を目指して学んでおけば、お店を運営する面でも役立つと思います。

これから10年20年と同じ作業が続くと考えれば、自分で商売をやる上で必要なものと思って、会計に臨んでみてはいかがでしょうか。

 

クラウド会計、会計ソフト、税務サービスのご紹介:

代表的な会計ソフトと税務サービスをご紹介します。

クラウド会計・確定申告

MFクラウド確定申告
月額1,280円(税別)から利用できるクラウド会計。1年まとめ払いで10,800円(税別)。ネットバンクやクレジットカード連携で明細データを自動取得できる。ネットショップBASEにも対応。Windows/Macのいずれにも対応。メール・チャットでのサポートあり。電話サポート付きは35,760円/年(税別)。金融システムに精通したメンバーが設計を担っている。

会計ソフトfreee
個人事業主プランが月額980/ 月(税別)で利用できるクラウド会計。ネットバンクやクレジットカード連携で明細データを自動取得できる。Windows/Macのいずれにも対応。メール・チャットでのサポートあり。アマゾンウェブサービスを採用してクラウドでのデータを厳重に管理している。

やよいの青色申告オンライン(クラウド型):
会計ソフトの定番である弥生会計のオンライン版。銀行明細やクレジットカードなどの取引データを取込して自動仕訳してくれる。Windows/Macのいずれにも対応。費用はサポート無しが10,300円(税別)/年。電話・メールサポートがついたプランは17,250円(税別)/年。Microsoft Azureを採用してクラウドでの高度なセキュリティを確保している。

 

インストール型(CD-ROMやダウンロード)の会計ソフト

みんなの青色申告(インストール型):松岡修造さんのパッケージでおなじみの会計ソフト。自分の業種に近いテンプレートを選ぶとそれに合った勘定科目や仕訳辞書が自動で設定され使いやすくなる。仕訳に自信のない初心者向けの「らくらく仕訳入力」機能あり。最大15ヶ月の電話サポートが無料。次期製品無償提供あり。実販売価格7000円~1万円前後。

やるぞ! 青色申告(インストール型):シンプルでコストパフォーマンスに優れたロングセラーの会計ソフト。他社製品に比べてシンプルな作りになっている。会計処理ができれば十分で小難しい機能はいらないという方におすすめ。最大15ヶ月の電話とメールでの安心サポートあり。青色申告に加えて確定申告ソフトも付きもある。会計ソフトでは珍しくMac版もある。実販売価格7000円~1万円前後。

やよいの青色申告(インストール型):国内シェアNO.1の会計ソフト。かんたん取引入力や仕訳アドバイザーといった仕訳機能があり、初心者でも入力しやすい設計になっている。「スマート取引取込」を利用すれば、銀行明細、クレジットカード、電子マネーなどの取引データを会計仕訳データに自動変換してくれる。ベーシックプランでは製品に対する電話とメールサーポートがある。21,600円のトータルプランを選べば仕訳や税務相談ができる。セルフプラン付きの定価:12,960円(税込)。実販売価格10,000円前後。料金的に差のないやよいの青色申告オンライン(クラウド型)がある。

わくわく財務会計:仕訳入力がしやすくシンプルな会計ソフト。習熟度に応じた伝票入力ができる。仕訳がわからないときは「仕訳ヘルパー」や「定番伝票」でサポートする。財務会計ソフトですが、青色申告書類の作成も可能。法人/個人の両方対応。無料サポート付き。実販売価格:20,000円前後。価格が少し安くなる個人専用(個人事業主やフリーランスなど)のわくわく青色申告もある。

 

税理士事務所のサポートを利用する

税理士紹介ネットワーク:税理士を探す手伝いをしてくれる手数料無料の仲介サービス。希望にあった税理士探し、税理士との契約に際してサービスや料金などの事前交渉を行ってくれる。

バイザー(Bizer):月々2,980円で、税理士・社労士・弁理士・司法書士・行政書士へ何度でも相談できるサービス。税理士等と顧問契約するより安い料金で相談できる。決算申告代行は別料金。freeeやMFクラウド会計で作ったデータを税理士に渡して決算可。(終了)

コジサポ:日々の記帳代行から確定申告まで行ってくれる税理士法人。個人事業主は年額36,000円くらいで依頼ができる。一般の税理士料金と比べると割安なサービス。(終了)

Tax House記帳代行サービス:面倒な経理データの入力(記帳代行)に特化したサービス。初期費用と決算申告料は別途。※一部を除き、税理士紹介のマッチングサービスに変更。(終了)

※会計ソフトやクラウド会計の内容については執筆現在のものです。料金やサービス内容は変更になることがありますので、詳細は各社サイトにてご確認ください。

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